この記事は SmartHR Advent Calendar 2024 シリーズ2 の23日目の記事です。
昨日の記事は、シリーズ1は @naoyuki70snow さんの 初めてモブプログラミング/スウォーミングを体験した感想 #リモートワーク - Qiita 、 シリーズ2は ushiboy さんの アプリケーションコードの構造によってテストコードをどう書くか でした。
モブプロ・スウォーミングの貴重な体験談や、フロントエンドのテストコードの実践的な書き方など、どちらも参考になりました!
Warning
この記事には先日公開されたモアナと伝説の海2の話があります。話の核心には触れていませんが、1ミリもネタバレしてほしくない方は、映画を見た後に読んでください。
はじめに
SmartHRでは開発チームに、プレイヤーとして開発に貢献しつつ、チームメンバーの評価や成長支援、チームが最大の成果を出せるよう支援していくチーフという役割があります。
この記事では、2023年10月から所属チームのチーフになり、この1年ちょっとの間にやってしまったたくさんの失敗と、改善に向けて試行錯誤してきたこと、少しだけ上手く行ったことを紹介したいと思います。これまで私はPjM的なことはやったことがあったものの、ピープルマネジメントの経験はなく、初めての挑戦でした。まだまだ道半ばで、「これをやったらうまくできました!~Happy End~」では全然ありません。ようやくのぼり始めたばかりのこの果てしなく遠いマネジメント坂をよ…という感じですが、同じような悩みを抱えた誰かの助けになれれば幸いです。
ちなみにこの記事では心の持ちよう的な話になるので、マネジメント手法的なことは出てきません。来年マネジメント力が53万になったらもっといい記事が書けるはずです…。
たくさんの失敗
そういえば、皆さん先日公開されたモアナと伝説の海2を見ましたか? 私は昨日子どもたちと見に行きました。面白かったです。
前作はモアナ1人で旅立つ物語でしたが、今作では仲間がいます。最初はバラバラで皆やりたい放題だった仲間を何とかまとめて旅を続けるものの、大きな困難に何度も襲われます。そこでモアナが「上手く行ったと思ったら状況が変わって駄目になる、ここに来るまで私は何も成し遂げられなかった」的な事(たぶん…最近記憶力があやしいので、ちょっと違ってたらごめんなさい)を言って落ち込むシーンがあるのですが、「「「「「「わかる」」」」」」と思い泣きました。
これまでエンジニアとして携わっていた開発も山あり谷ありでしたが、マネジメントをはじめたこの1年、爆速回転するコンパスを持ちながら大荒れの海を航海している気持ちでした。
一瞬晴れ間が見えて、飛魚のアーチをくぐって宝島が見えたと思ったら、次の瞬間には高波に襲われ真っ暗な海の中へ、の繰り返しでした。
ちなみにマウイが励ましてくれる時の曲がすごくよかったのでどうぞ。(あれ、チーフー…?チーフ…?)
たぶんこの大荒れの海は永遠に続いていくことなのだろうと思いますが、私はこの1年、高波を超えるために必要な舵の切り方を色々間違ってしまったな、と反省しています。まず、そのうちのいくつかを紹介しようと思います。
信頼関係の構築
チーフになった当初、まだ入社1年未満で、右と左がおぼろげにわかってきた…という時期だったのもあり、周りの意見の方が正しく、私の意見より重視した方がよい、という思考に陥ってしまっていました。
そのため、自分の主張はあまりはっきり表明せず、他のメンバーの意見を受け入れるだけになってしまうことがよくありました。
メンバーから見ると、主体性がなく、周りの意見に流されがちで頼りなく見えていただろうなと思います。
その結果、メンバーからの信頼を得るのが難しい状況になってしまいました。
開発とマネジメントのバランス
初めてのマネジメントの業務に手一杯になってしまい、開発業務にほとんど入れず、一方で何かチームにFBしなきゃいけない…という焦りを抱えていました。
焦りから、あれこれ横からチームに提案してみたりしたのですが、普段開発に入っていないため納得感を持ってもらうことに時間がかかったり、トップダウンな雰囲気でメンバーを戸惑わせてしまうこともありました。
また、元々コードを書いていたい人間なので、コードを書けない期間はちょっと辛さもありました。
目標管理むずかしい問題
SmartHRでは期初に目標を設定して、半年後の期末にその目標の達成度から評価する制度になっています。良い目標ができれば、チームとしてもより大きな成果を出せる重要な要素の1つになると思っています。
ちなみにここで良い目標と言っているのは
- 組織(所属チームだけでなく、その上位組織も含めて)の目指す姿にアラインできている
- 個人の成長にもつながっている
という2つの要素を満たせている目標のことです。
チーフはメンバーが良い目標設定とその達成ができるようサポートする必要があるのですが、私は全然上手くできませんでした。
基本的にメンバー本人に目標を設定してもらうので、トップダウンで設定される訳では無いのですが、本人の成長につながる目標だったり、組織として目指すところにアラインできるようにする観点からのサポートは、普段メンバーを観察しているチーフの腕の見せ所なのだろうと思っています。
また、半年間、目標達成できるようなサポートを通して、メンバーの成長支援をしていく必要もあるのですが、日々の業務に追われてしまい、殆ど何もできず、メンバーの自律駆動に任せっきりになるということもありました。
取り組んだこと
上記の失敗は、だいたいチーフになって半年くらいまでの出来事でした。船は大破してメンバーにも迷惑をかけ、自分のメンタルも大根おろしになるしという状況になったので、何とかできないかと試行錯誤しました。
社内のコーチングを受講してみた
大荒の海を進まなくてはならないのに、私の手元のコンパスは壊れていて、爆速回転をするばかりでした。このコンパスを直すために、丁度社内でコーチングのクライアント募集していたので、藁にもすがる思いで応募しました。
このコーチングの体験が本当に良かったです。全10回のセッションを通して、私の壊れているコンパス(どんなチーフになりたい?どんなチームを目指したい?)が徐々に直っていきました。
コーチングでは、何かを教わったりするわけではなく、自分自身の中にある答えを引き出してくれる、というものになります。
詳しくは↓のリンクを参照してみてください。 coach.co.jp
コーチングで気付いたことの実践
コーチングで、自分の進みたい方向や改善に向けた取り組みの方向が見えてきたので、試行錯誤しつつ実践もしていきました。
ちゃんと自分の意見を言う
何を当たり前の事を…という感じですが、当時は自分の意見は価値がないと思ってしまい、周りの意見が正しいので尊重すべき、となってしまっていました。 でもそれは尊重しているわけではなく、その場をただ収めようとしているだけに過ぎなかったのです。
そんな事を繰り返していると、自分の意見とコンフリクトした時に、「自分はこうじゃないと思うが、でもそれは間違っているのかも…。でも本当に?」と混乱に陥り、1人で勝手に自分の首を絞める状況を生み出してしまっていました。
また、チーフという役割に過剰な責任を感じてしまっていた部分もありました。間違った発言をしてはいけないというプレッシャーを勝手に感じていました。SmartHRではチーフはあくまで役割であり、メンバーと上下関係にあるものでもありません。対等なメンバー同士として、違う意見はすり合わせていけばよかったし、間違った事を言っても教えて貰えばよかっただけでした。
この辺りの自己開示はメンバーの時はできているつもりでしたが、チーフになってからは上手くできていなかったなと反省しています。
あまり過度に心配しない
急な状況の変化に対しても過剰にネガティブに捉えてしまい、不安を抱えがちでした。
コーチングで不安を感じた時は、不安の棚卸しをすると良いよと聞いたので、不安が頭がどうにかなりそうになったら書き出して棚卸ししてみるようにしています。
すると、意外と不安に感じていたことは数個しかなく、それぞれに対しても対応策を考えられて、不安が減る、というサイクルができています。
また、チーフになって以降、仕事ができない自分をずっと責め続けていましたが、落ち着いて考えると、物事を常に100%完璧にこなせることはなく、上手く行くこともあれば、上手く行かないこともあるわけです。
上手く行っているならOKだし、上手く行かない時は、不安の棚卸しで考えた対応策をお守りに、過剰に不安にならず、「まぁ〜なんとかなるだろう〜」と楽観的に考えるように気をつけています。(気をつけている時点でちょっとアレですが、まぁ…)
周囲を気にしすぎない
コーチングを受けていて、周りに視点が行きがちになっていて、気にしすぎている、という気付きがありました。例えば、「どんなチームにしたいか?」というような質問を受けたときも「メンバーがxxxなチームになっているとよさそう」というように、「私が」どうしたいという考えが最初に出てきませんでした。
マネジメントをする立場としては、メンバー視点で考えるのは大事なことですが、私の場合はそれが過剰で、「私がどうしたいか」がブレブレになってしまっていました。
何かがあった時、まずは自分としてどうしたいのか、それを最初に出してから、考え始めるくせをつけるようにしています。
少し改善したこと
コーチングを受けて行動を変えていったり、これまでの反省を踏まえて改善の試行錯誤を続けています。
100%何もかも上手く行っている!とは言えないのですが、少しずつ良い方向には船を進められつつあるかも、と思っています。
メンバーからの信頼
メンバーの入れ替わりもあったのですが、ゼロからプラスの関係を構築するのはできているのではと思っています。
自己開示を徹底するようにしたこと、相手の意見を受け止めつつも、自分の意見ははっきり表明することを心がけています。ただ、私自身、会話の瞬発力が無いので、その場では上手く伝えられない事も多いのですが、気付いた段階ですぐに訂正したり、再度伝えるようにしています。
私が相手を理解しようとするだけではなく、相手にも私を理解してもらえるような関係づくりを目指しています。
開発とマネジメントのバランス
マネジメントの仕事を上手くやろうとしすぎて、開発にも入れず、結局マネジメントも上手く行かない、という悪循環に陥っていました。コーチングの中で、私がどんなチーフを目指したいのか?を考えた時に、開発にもしっかりコミットしながらマネジメントできる人を目指したい!と思ったので、やることを取捨選択しつつ、開発も入りながらマネジメントもやっています。
半年前よりがっつりコードを書ける時間も増えて、開発の事に関しても解像度高く改善の動きもできているので、今のところハッピーハッピーです。ただ、どうしても勤務時間でカバーしようとしてしまうので、もっと業務の移譲などをしていかないといけないなと思っており、今後の課題です。
目標管理むずかしい問題
これまでの流れでお分かりかと思いますが、目標の話は何もありませんでしたね!ここはまだ何も解決できていません…。
やっとチーフとしてやる事がわかってきた、という段階なので、ここから、もっとメンバーの成長をどんどん支援していき、チームとして最大の成果が出せるようにやっていかなくては、と思っています。
目標管理、詳しい方がいたらアドバイスを360日24時間募集しています。
まとめ
この1年を振り返りながらまとめてみましたが、ヨチヨチマネジメント赤ちゃんがやっと立った〜〜〜くらいなので、しんどい山はここからまたたくさんあるのだろうなと思っています。
ただ、私のそばにラップで励ましてくれるマウイはいませんが、私が道に迷い迷走を続ける中暖かく見守り、手厚いフォローをしてくれる上長の方々、こんな私でも信頼してくれるメンバー、コーチングで色々な気づきくれたコーチ、フルリモートで仕事をしている私を支えてくれる家族がいるのでなんとかやっていけそうです。大根おろしになったメンタルも、今は大根もちになりました。
そういえばマウイってドゥエイン・ジョンソンが声優なんですね。 息子が最近ドゥエイン・ジョンソンの顔真似をしてくれるのですが、めちゃくちゃ似ていて可愛いです。
また悩んだら息子にドゥエイン・ジョンソンの顔真似をしてもらったり、きんに君のチーフーダンスを踊って元気だして頑張ります。